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そんじゃここまでだ、さよなら

section-15

の頃、相田さんの安定感や小宮さんの不安定さについて深く考えることが多い。わたしが心理学を専攻していることもあるとおもう。そもそもテレビで見たりライブで見たりする芸人さんのパーソナリティについて考えるなんて絶対おかしいんだけど、すごく興味があった

 

夜、羽田空港の展望デッキで飛行機を眺めていたら、一緒にいた友人に、なんであんた最近そんなに三四郎がすきなの?テレビも滅多に見ないしライブとかそういう観賞系も苦手じゃん、ずっと不思議だったんだよね、と言われた

ちなみにその友人とは、先日おちこんでいたわたしを励ましてくれた優しい(?)友人のこと

 

わたしはお笑いのことは正直いまだによくわからない。テレビをあまり観ないからお笑いに触れる機会はライブくらい。もとより言葉をつかうものだから興味は多少あったけど、すごくすきだったというわけではない。でも三四郎に関してはふたりのパーソナリティを観察するのがすごく好きなのだという話をして、せっかくだから彼女にも意見を聞いてみることにした。彼女はおもしろいひとなので、芸能人はテレビで見る側面と本当の側面と、どれがほんとうだかわからないからあまり心理学的な観察対象には向いていないと思う、のめり込み過ぎずにほどほどにしろと忠告した後で、ついでに「え、三四郎って小宮以外もいたの?」とふざけたことを抜かしながら、それでもわたしの話を聞いてくれた。

 

身の回りにものすごい安定感で、地に足がついていて、何にも揺らがなさそうな人はいるかというわたしの質問に、彼女は、自分の元彼がそうだったという話をしてくれた。この人と一緒にいたら何が起きても大丈夫だろうという安心感が常にあって、たとえるなら防弾チョッキを羽織っているようだった。人間的にものすごく安定しているうえに情緒もものすごく安定しているから、なにがあっても大丈夫そうな、土台がしっかりしている人だったらしい。わたしの中で相田さんはそういうひとなので、いろいろ聞いてみた。

まず、その人のその安定がどんな要因から来ていると思うか、ということについては、自分でなんでもできてしまうタイプだから他人との付き合いで揺らぐことがないんじゃないか、と言っていて、確かに、と思った。相田さんってなんでもそつなくこなしてしまうイメージがあったから、納得。道具的な人間関係をわざわざ築く必要がないから、どういった状況でも情緒的な繋がりだけを作り上げることができるのかも。それからその話を突き詰めると、家庭環境をはじめとする生育環境との関係が強いんじゃないかという話になった

相田さんは子どもの頃に両親が離婚したこともあって、父がいて母がいるという家庭とはやはりすこし違った世界で生きてきたのかもしれない。母親と一緒に暮らす中で、母親が「女性」であることや、自分が助けなければならないと思うような場面にも遭遇したかもしれない。実際、友人の元彼もそうだったらしい。そういう自立心がもしかすると人よりも早く芽生えていて、だれか他人の手を借りなくてもひとりでなんとかできるようになったのかもしれない。だれかの手を借りない分、ものすごく安定感があって穏やかなのかもしれない。

 

わたしは相田さんの安定感が、諦観から来ているのかもしれないと思うことがある。陽だまりのような安定感とバランスのとれた立ち居振る舞い、だれの懐にも入り込める対人関係構築の巧みな感じが、すべて、あらゆることへの諦観から来ているのだったら。自立しているとか穏やかだとかではなくて、そもそも何にも期待していなかったら。何にも期待しないから何かに揺さぶられることもなく、何かに平衡を乱されることもない

小宮さんがよく相田さんの目を版画のようだとたとえているけど、わたしは何度かの出待ちで相田さんとお話した時、なんてきれいな目をした人なんだろうと思った。不思議な目だな、と思った。目が合っているのに黒目にわたしが映っていないような。見えているのに見ていないみたいな目だな、と思ったことがあって。それがずっと引っかかっていて、あるときふと思いついた「諦観」という言葉とぴったりだった。それは情熱がないとか怠惰だとかではなくて、物事を俯瞰で見ているという方が近いかもしれない

相田さんはどこか人間らしくなく、だれに対しても親密、でも一線を引いているような印象を受けるけど、一方で小宮さんは人間らしい。他人の言うことや視線に臆病になったり、他人の表情の変化や言葉尻に敏感だったり。相田さんと小宮さんはどちらも敏感なのだけど、その感性の使いどころがすこし違っている。小宮さんは人間的に不安定なんだけど、どこか他者評価を気にしているからこそ期待を捨てきれない感じがする。人間に期待して裏切られたことがあるからこそ、人間不信やひねくれや劣等感をたくさん抱えているような気がする。

 

何を言っているのかわからなくなってきちゃった

 

相田さんも小宮さんも、研究対象としてめちゃくちゃおもしろそう。死ぬほど興味があるので1週間くらい一緒に暮らしたい。あと写真を撮らせてほしい。いくらでもお金は払うから。ほんとに。

これは性格だけど、あらゆる面でおふたりは正反対だよね。出待ちで対応していただいている時、おふたりの目の動きとか言葉とか、めっちゃ見ている。相田さんはどちらかというと前のめりだけど、小宮さんはどちらかというと後ろ向きな感じがする。結果どっちも好きだしどっちの研究というか観察もしたいよ。お金ならいくらでも払うし研究結果もちゃんと報告するから、、なんかそういうテレビない?あなたの願いごと叶えてあげますみたいなやつ

 

何を言っているのかわからなくなっちゃった

 

「信頼」の言葉にはふたつくらい捉え方があるような気がしている。この人にだったら裏切られてもいいと思う信頼と、そもそもこの人だったら裏切らないと思う信頼。相田さんは前者、小宮さんは後者な気がする。だれとでも分け隔てなく接するけれど、全幅の信頼を預けることはしなさそうな相田さんと、特定の人と長く深く付き合うことでその人たちに全幅の信頼を預けそうな小宮さん。

めっちゃ余談だけど、相田さんのあの安定感が、小宮さんという不安定要素のかたまりみたいな人間がずっとそばにいたことで形成されたものだったらおもしろい。どちらのパーソテリティにも興味があるけれど、わたしは小宮さんみたいな人格なので、逆に相田さんみたいな人を観察してみたい。そんで、ぜんぜん恋愛とかじゃないんだけど、相田さんとずっと一緒にいてみたいなあ

 

心理学オタクというわけでもないんだけど、ほんとうに見ていて飽きないふたりだなあと毎回思っていて、小さな仕草ひとつとってもそれぞれの性格や特性が現れているようで、目を離せない。わたしみたいに三四郎を観察している人なんてあまりいないのかもしれないけど、対比させながら見るとめちゃくちゃ興味深いので、おすすめです

最後まで何の話だかわからなかった。すみません