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そんじゃここまでだ、さよなら

section-39

なにか書きたい気分になったけど特に書きたいこともなく、どうしようかなと思いながら自分のプレイリストを流し聴きしていたとき、ある曲が流れてきて、この曲について書こうかなという気になった。「本棚をみられるのは頭の中を覗かれているみたいだ」とオードリーの若林様が以前どこかでおっしゃっていたけれど、全くその通り。わたしの場合は本棚と、音楽のプレイリストがそれに値する。わたしは歌詞で音楽を聴くタイプなので、どういう言葉に共感してどういう思考回路なのかまですべて覗かれてしまう気がする。だけどたまには頭の中をぶちまけてもいいんじゃないかという気になったので、書いてみようと思う。

男の人で感受性が鋭くて語彙が豊富で表現が繊細だなって思う作詞者がふたりいる。そのうちのひとりが米津玄師さん(もうひとりはボカロPのぬゆりさん。ちなみにほんとうにあの曲を作詞しているのなら相田さんの書く歌詞がすごく好きだ)米津さんの脳みそや思考回路を丸ごともらいたいくらい好き。彼のことを知ったのは「ドーナツホール」がYouTubeに投稿された時だから、もう7年くらい前の話になる。


ハチ MV「ドーナツホール」HACHI / DONUT HOLE

バカみたいにリピートして聴いていたときに間違えて「アイネクライネ」のPVを再生してしまって、それからどんどんハマっていった。当時セカンドアルバムが出たくらいの時期で、たぶん高1とかだったと思うんだけど、周りに「ハチ」を知っている人はいても「米津玄師」を知っている人がいなかった。でもわたしがずっと学校で歌っているから席が近かった数人が覚えてくれて、他の曲も聴いたけどめっちゃいいね!って言ってくれた

ライブにも何回か行かせてもらっている。最初は大学の同期と行ったんだけど、だれかが横にいると思い切り泣けないことに気づいたのでその次からはひとりで行くようにしている。幕張メッセのスタンディングで、一番後ろにぼんやり立って号泣している奴を見かけたことがあったら、それはたぶんわたしです

好きな曲なんてたくさんあって紹介しきれないんだけど、最近のアルバムから1曲だけ。アルバムが届いて歌詞カードを読んでからずっとこの曲を聴くことを避けていたんだけど、今日はこころにゆとりがあったので聴いてみた。やっぱりしんどくなったし、いろいろ考えさせられたのでちゃんと言葉にして残しておこうと思います

ちなみに新しいアルバムに入っていた菅田くんの楽曲をセルフカバーした「まちがいさがし」はもう何も言わなくても全部がいいので、割愛させていただきます。

まちがいさがし

まちがいさがし

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥255

「深い春の隅で だれにも見せない顔を見せて」ってところ、何回聴いても死んでしまいそうになります

 

優しい人 ー 「STRAY SHEEP」より

優しい人

優しい人

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

あなたみたいに優しく生きられたらよかったな

自分以外の他人に対して絶望的に優しい人の「そばにいる人」のきもちをうまく言語化している。心のきれいな人のそばにいて、自分の心の汚さや醜さみたいなものが洗い出されていく感覚。この人みたいになるのが人間としての正解だと思いながら、それでもどうしてもきれいになりきれない自分への嫌悪感みたいなもの。「優しいあなた」が気にかける「あの子」が気に入らない「優しくないわたし」の構図、切なくて人間臭くてなんども死にそうになる

周りに愛されず笑われる姿を 窓越しに安心していた

ババ抜きであぶれて取り残されるのが 私じゃなくてよかった

簡単に言ってしまえば、嫉妬とか、優越感とかがテーマの歌なんだろう。自分の好きな「あなた」が他の子を「きれいだ」と言ったことについて。そしてその他の子というのが、俗な言い方をすればいじめられっ子で、みんなから嫌われている子だったからなおさらモヤモヤしている。だけど、自分のことをもっと気にかけてほしいとか、大切にしてほしいとか、わたしはあなたみたいじゃなくてよかったとか、簡単なきもちだけじゃない。このままじゃだめなんだろうなってことがわかっているのに、それをどうにかする術もわからなくてどうしたらいいかわからないみたいな。「優しくなりたい 正しくなりたい」という歌詞が痛い

頭を撫でて  ただ「いい子だ」って言って

あの子を見つめるその目で見つめて

「優しいあなた」に気にかけてもらったり、やさしい目で見つめられている「あの子」が羨ましくありながら、でもあの子みたいに生まれてこなくてよかったと思っている。これってだれもが持ってる感情なんだと思う。言語化しないし、表面化しないだけで、みんな「ああやって生まれなくてよかった」って思ってるんだろうな。わたしもある。きっとこれを読んでいるあなたにも。